トナカイ語研究日誌

歌人山田航のブログです。公式サイトはこちら。https://yamadawataru.jimdo.com/

現代歌人ファイル

現代歌人ファイルその121・真木勉

真木勉は1947年生まれ。「港」短歌会を経て「短歌人」所属。富山県在住の歌人である。1994年に第1歌集『人類博物館(ミューゼ・ド・ロム)』を出している。この『人類博物館』という歌集、実はかなりの異色作である。なにしろ、「ホラー短歌」なのだ。 「ア…

現代歌人ファイルその120・柴善之助

柴善之助は1915年生まれ。法政大学政経科第二部を卒業後、1955年に天ぷら食堂を開業。1987年「未来」に入会し、2002年に第1歌集「揚げる」で第10回ながらみ書房出版賞を得た。 短歌は老人文学のように思われているが、実際のところ有名な歌人の多くは20代か…

現代歌人ファイルその119・浜田到

浜田到(はまだ・いたる)は1918年生まれ。岡山医科大学卒業後、鹿児島で勤務医となる。1935年に潮音系の歌誌「山茶花」に参加し、のちに「歌宴」「工人」に移った。1968年に、交通事故で早世している。 地方の小さな歌誌でひっそりと活動していたが、中井英…

現代歌人ファイルその118・西田美千子

西田美千子は1977年に「青いセーター」で第20回短歌研究新人賞を受賞した。当時23歳で結社所属はなし。その後歌集を出したという情報もなく、受賞作のみを残して消えてしまった歌人である。 駆けている大地と空のさかい目が君のかたちに一〇〇メートル裂ける…

現代歌人ファイルその117・吉田正俊

吉田正俊は1902年生まれ、1993年没。東京帝国大学法学部卒業。1925年「アララギ」に入会し土屋文明に師事。いすゞ自動車に勤務し重役まで上り詰めるかたわら歌人として活動し、1975年に『流るる雲』で読売文学賞、1988年に『朝の霧』で迢空賞を受賞した。 高…

現代歌人ファイルその116・賀村順治

賀村順治は1945年生まれ。60年代から70年代にかけて菱川善夫を中心として活動していた北海道青年歌人会のメンバーの一人で、1976年に歌集「狼の歌」を刊行している。この北海道青年歌人会のメンバーは、ほかに松川洋子や西勝洋一がいる。70年代の里標となる…

現代歌人ファイルその115・岸上大作

岸上大作は1939年生まれ。高校時代より作歌を始め「まひる野」に入会。國學院大學文学部在学中に短歌会で活動しながら安保闘争に身を投じ、1960年に「意志表示」で第3回短歌研究新人賞に推薦される。そして同年には21歳で自殺をした。 清原日出夫と並ぶ安保…

現代歌人ファイルその114・狩野聡子

狩野聡子は2009年に第1歌集「若草色の便箋」を青磁社より出版した。著者のプロフィールについてはよくわからず、青磁社と関係の深い「塔」の会員なのかどうかもわからない。歌集には「二十代の終わり」が幾度も描かれているので、年齢は30代だろうか。 偶然…

現代歌人ファイルその113・栗原寛

栗原寛(くりはら・ひろし)は1979年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。1997年より「朔日」同人。2005年に第1歌集「月と自転車」を出している。 師にあたる外塚喬の解説からは、古典文学を専攻していて、合唱団でピアノや指揮をしていたこと、東京都出身で…

現代歌人ファイルその112・時田則雄

時田則雄(ときた・のりお)は1946年生まれ。帯広畜産大学別科修了。「辛夷」編集発行人。野原水嶺に師事。1980年「一片の雲」で第26回角川短歌賞を受賞し、第一歌集「北方論」で第26回現代歌人協会賞受賞。2009年には、「ポロシリ」で第60回読売文学賞と芸…

現代歌人ファイルその111・朋千絵

朋千絵(とも・ちえ)は1965年生まれ。清泉女子大学文学部卒業。高校在学中に「うた」に入会し、1993年より「日月」同人。2000年に第1歌集「リリアン」、2003年に第2歌集「ヴォイス」を刊行している。 「リリヤン」という歌集の特徴は、巻末に「リリヤン」と…

現代歌人ファイルその110・しんくわ

しんくわは1973年生まれ。2004年に「卓球短歌カットマン」で第3回歌葉新人賞を受賞。「しんくわ」という名前はハンドルネームをそのままペンネームとしたものである。 歌葉新人賞はオンライン上で公開選考を行うということを特色としていた賞で、「卓球短歌…

現代歌人ファイルその109・平井弘

平井弘は1936年生まれ。岐阜県立加納高等学校卒業。1960年に「斧」創刊に参加し、1961年に第1歌集「顔をあげる」を出版した。1976年に第2歌集「前線」、2006年に第3歌集「振りまはした花のやうに」を刊行しているが、歌集のあいだのブランクの長さはほぼその…

現代歌人ファイルその108・光森裕樹

光森裕樹は1979年生まれ。京大短歌会出身で、結社には所属していない。2008年に「空の壁紙」で第54回角川短歌賞を受賞し、2010年に第1歌集「鈴を産むひばり」を刊行したばかりである。 作風はスマートでスタイリッシュという言葉がぴったり来る。ドイツ留学…

現代歌人ファイルその107・辺見じゅん

辺見じゅんは1939年生まれ。早稲田大学文学部卒業。「弦」主宰。1988年に歌集「闇の祝祭」で第12回現代短歌女流賞を受けている。しかし一般的に有名な肩書きは歌人ではないだろう。「男たちの大和」などの著作があるノンフィクション作家として、そして角川…

現代歌人ファイルその106・大久保春乃

大久保春乃(おおくぼ・はるの)は1962年生まれ。1988年「醍醐」入会、槇弥生子に師事。2000年「醍醐」新人賞受賞。2004年より「熾」に移って活動している。歌集に「いちばん大きな甕をください」「草身」がある。 われを抱くあなたの髪のやさしくて両の手の…

現代歌人ファイルその105・糸田ともよ

糸田ともよ(いとだ・ともよ)は1960年生まれ。札幌市在住で、1986年より永井浩に現代詩を学んだ。のちに「鳩よ!」に短歌を投稿するようになり、選者だった福島泰樹のすすめで1992年に「月光」に入会した。第1歌集「水の列車」は2002年に刊行され、第17回北…

現代歌人ファイルその104・斉藤光悦

斉藤光悦(さいとう・こうえつ)は1962年生まれ。明治大学法学部卒業。1988年、加藤克巳の「個性」に入会。1992年に第1歌集「群青の宙」を出している。1993年、個性新人賞受賞。「個性」解散後は沖ななもの「熾」に寄っていたが休会しているそうである。 加…

現代歌人ファイルその103・紺野万里

紺野万里は1947年生まれ。福井大学卒業、名古屋大学大学院修士課程修了。「未来」所属。近藤芳美に師事。2000年、「冥王に逢ふ―返歌」で第43回短歌研究新人賞受賞。2008年、「星状六花」で第34回現代歌人集会賞受賞。「過飽和・あを」「星状六花」の二つの歌…

現代歌人ファイルその102・成田れん子

成田れん子(なりた・れんこ)は1927年に生まれ、1959年に33歳で逝去した。北海道在住で、病気がちの身を抱えながら作歌活動を行ない、1951年に第1歌集「笛を吹く魚」を刊行した。詩や童話なども書いていたが、その後は忘れられた歌人だったようである。2010…

現代歌人ファイルその101・吉野亜矢

吉野亜矢(よしの・あや)は1974年生まれ。「未来」「レ・パピエ・シアン」所属。2001年に未来賞を受賞し、2004年に第1歌集「滴る木」を上梓している。神戸市在住の歌人のようである。 「滴る木」という表題にもあらわれているが、この歌集には植物のイメー…

現代歌人ファイルその100・西田政史

西田政史(にしだ・まさし)は1962年生まれ。愛知県立大学外国語学部卒業。「玲瓏」にて塚本邦雄に師事し、1990年に「ようこそ!猫の星へ」で第33回短歌研究新人賞を受賞。1993年に歌集「ストロベリー・カレンダー」を刊行している。 西田の文学とのつながり…

現代歌人ファイルその99・西王燦

西王燦(にしおう・さん)は1950年生まれ。立命館大学文学部日本文学科卒業。1982年「バードランドの子守歌」で第28回角川短歌賞次席。1976年より「短歌人」所属。歌集は1982年に「バードランドの子守歌」を出版している。その収録歌を並べてみよう。 オート…

現代歌人ファイルその98・錦見映理子

錦見映理子は1968年生まれ。聖心女子大学文学部卒業。1997年「開放区」に入会。1998年に「婚姻届」で第44回角川短歌賞最終候補。2003年に第1歌集「ガーデニア・ガーデン」を刊行した。現在は「未来」所属。 南下する前線 北上するエロス 口移さるる水こぼす…

現代歌人ファイルその97・宮田長洋

宮田長洋は1943年生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。1969年に「短歌人」に入会し、2005年、「魔都には闇を」で短歌人賞を受賞した。 宮田は東京の武蔵野生まれである。といっても現在の武蔵野市は本来の武蔵野ではなく、現在でいう東京23区の西部のあ…

現代歌人ファイルその96・甲村秀雄

甲村秀雄は1941年生まれ。國學院大學大学院日本文学研究科修士課程修了。香川進と岡野弘彦に師事。「地中海」を経て現在は「ナイル」の代表。 第1歌集「棘よ、憎まれてなほ」は1978年に出版。この歌集が収められたアンソロジー「青春歌のかがやき 第一歌集の…

現代歌人ファイルその95・上野久雄

上野久雄は1927年生まれで2008年没。横浜専門学校(現・神奈川大学)中退。1950年「アララギ」入会、近藤芳美の指導を受ける。1951年「未来」創刊に参加。1983年「みぎわ」創刊。山梨県を地盤として喫茶店のマスターをしながら活動していたという地方歌人で…

現代歌人ファイルその94・杉崎恒夫

杉崎恒夫は1919年生まれで、2009年に90歳で死去している。前田透主宰の「詩歌」を経て1984年に「かばん」に参加。1987年より「礁」編集委員。同年に第一歌集「食卓の音楽」を刊行。第二歌集「パン屋のパンセ」は事実上の遺歌集として2010年に刊行された。歌…

現代歌人ファイルその93・北川草子

北川草子(きたがわ・そうこ)は1970年生まれで、2000年に若くして没している。早稲田大学第一文学部西洋史学科卒業。早稲田短歌会を経て「かばん」に入会し、1994年に「人魚」で第9回短歌現代新人賞佳作。また、早大児童文学研究会では北川想子の名前で童話…

現代歌人ファイルその92・小笠原魔土

小笠原魔土(おがさわら・まど)は1967年生まれ。東海大学大学院海洋学研究科修士課程修了。1990年に加藤克巳の「個性」に入会、「個性」解散後は沖ななもの「熾」に寄っている。第1歌集「真夜中の鏡像」は2005年に刊行された。 ペンネームからはわかりにく…