トナカイ語研究日誌

歌人山田航のブログです。公式サイトはこちら。https://yamadawataru.jimdo.com/

2008-11-01から1ヶ月間の記事一覧

穂村弘百首鑑賞・10

こんなにもふたりで空を見上げてる 生きてることがおいのりになる 第3歌集「手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)」から。この歌集は一冊全体でコンセプトを持ったものであるが、掲出歌などはその中でも連作性を超えて際立った絶唱といっていいものだろう。…

現代歌人ファイルその12・大田美和

大田美和は1963年生まれ。早稲田大学第一文学部英文学科卒業、東京大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。現在は中央大学で教鞭を執る英文学者である。1984年より朝日歌壇に投稿を始め、1989年に「未来」入会。近藤芳美に師事した。第一歌集「きらい」…

穂村弘百首鑑賞・9

海のひかりに船が溶けると喜んでよだれまみれのグレイハウンド 第2歌集「ドライドライアイス」から。穂村弘の歌にはよく犬が登場するが、そのなかには具体的な犬種名が付されているものがある。猫や鳥が詠まれるときはこういうことはない。不思議な特徴であ…

「風通し」を読んでみる。

「風通し」が届いた。斉藤斎藤が発行人をつとめる同人誌である。9人の歌人が30首の連作を発表し、ネットの掲示板を使って批評と討論を交わし合うというものである。いずれも明晰な理論を持つ歌人たちであり、とても内容の濃い討論が繰り広げられていた。歌会…

現代歌人ファイルその11・本多稜

本多稜は1967年生まれ。「短歌人」所属。関西学院大学商学部卒業、ロンドン経済政治学院(LSE)修士課程修了。1998年に「蒼の重力」で第9回歌壇賞を受賞。2004年に第1歌集「蒼の重力」で第48回現代歌人協会賞。2008年には第2歌集「游子」で第13回寺山修司…

「風通し」創刊

「現代歌人ファイル」の第1回でも取り上げている歌人・斉藤斎藤さんを中心に歌誌「風通し」が創刊されるとのことです。これからの歌壇を担っていくだろうすごいメンバーが揃っております。===以下宣伝=== 「風通し」創刊 説明しよう ●「風通し」とは、…

現代歌人ファイルその10・大塚陽子

大塚陽子は1930年生まれで、2007年に没している。樺太生まれで、豊原高等女学校卒業。1952年に「新墾」「潮音」に入会。のちに「辛夷」に移籍し、編集人を務めた。野原水嶺に師事。その名が歌壇に現れたのは1954年の第1回短歌研究新人賞五十首詠のときであり…

結句六音のうた

短歌において「字余り」は大幅な破調でもない限りほとんど意識されることはない。言葉がどうしても字余りを要請する部分があるし、作者の方も半ば無自覚的に字余りを遣っているケースが多い(例外は初句七音くらいだろうか)。しかし「字足らず」は違う。韻…

現代歌人ファイルその9・盛田志保子

盛田志保子は1977年生まれで「未来」所属。加藤治郎に師事。早稲田大学第二文学部在学中に、水原紫苑の短歌実作ゼミに参加したことがきっかけで作歌を始め、2000年に『風の庭』で短歌研究社主催「うたう」作品賞を受賞した。この賞には、今橋愛(当時のペン…