トナカイ語研究日誌

歌人山田航のブログです。公式サイトはこちら。https://yamadawataru.jimdo.com/

2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧

現代歌人ファイルその78・筑波杏明

筑波杏明は1924年生まれ。立正大学文学部卒業。1947年に警察官となり、翌年窪田章一郎主宰の「まひる野」に入会した。1961年、第1歌集「海と手錠」を刊行。その他「時報鳴る街」「Q」という歌集がある。筑波の名を高めたのは「海と手錠」所収のこの一首であ…

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明日3月31日(水)読売新聞夕刊に短歌5首を寄稿させていただきました。一緒に角川俳句賞を受賞された相子智恵さんと今回も並ばせてもらっております。 ご一読いただけると幸いです。

穂村弘百首鑑賞・77

今ふいにまなざし我をとらえたりかなぶんの羽の中央の線 掲出歌は第32回角川短歌賞次席となった「シンジケート」50首に入っている歌であり、歌集にまとめられるにあたって落とされた歌である。このように、次席作品に入っていながら落とされた歌は全部で8首…

現代歌人ファイルその77・花山周子

花山周子は1980年生まれ。武蔵野美術大学卒業。1999年に「塔」に入会。2007年に第1歌集「屋上の人屋上の鳥」を出し、第16回ながらみ書房出版賞を受賞した。母は「塔」選者の花山多佳子である。 「屋上の人屋上の鳥」という歌集の大きな特徴は収録歌数の多さ…

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発売中の「短歌研究」4月号にて歌集・歌書共選を書いております。 ご一読いただけると幸いです。短歌研究 2010年 04月号 [雑誌]出版社/メーカー: 短歌研究社発売日: 2010/03/23メディア: 雑誌 クリック: 2回この商品を含むブログを見る

穂村弘百首鑑賞・76

くぐり抜ける速さでのびるジャングルジム、白、青、白、青、ごくまれに赤 第3歌集「手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)」から。ジャングルジムは穂村弘の歌にしばしば登場するモチーフであるが、その中でもきわめて印象的な一首である。結句の「ごくまれ…

現代歌人ファイルその76・大松達知

大松達知は1970年生まれ。上智大学外国語学部英語学科卒業。「コスモス」「桟橋」所属。高校時代に作歌を始め、これまでに「フリカティブ」「スクールナイト」「アスタリスク」の3歌集を出している。本業は私立高校の英語教師。蛇足ながら、千葉ロッテファ…

現代歌人ファイルその75・松崎英司

松崎英司は1960年生まれ。2002年「星座」入会。2006年に「青の食單」で第52回角川短歌賞次席。本職は料理人であり、ホテルの料理長も務めている。「青の食單」はすべての歌に食材が詠み込まれているというユニークさから、小池光に高く評価された。この食材…

穂村弘百首鑑賞・74

手紙かいてすごくよかったね。ほむがいない世界でなくて。まみよかったですね。 第3歌集「手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)」から。歌集のハイライトともいえるシーンであらわれる歌である。「ほむ」とは手紙の相手、穂村弘自身のこと。ここで綴られて…

現代歌人ファイルその74・小黒世茂

小黒世茂は1948年生まれ。「玲瓏」に所属し塚本邦雄に師事。1999年に「隠国」で第10回歌壇賞を受賞。「隠国」「猿女」「雨たたす村落」の三つの歌集がある。 小黒は和歌山市出身で、紀州熊野に魅せられその地を舞台とした歌を多数詠んでいる。その特徴は一言…