2010-02-01から1ヶ月間の記事一覧
甘い甘いデニッシュパンを死ぬ朝も丘にのぼってたべるのでしょう 第3歌集「手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)」から。穂村弘と甘いパン、というと「世界音痴」所収のエッセイにも書かれているチョコスティックパンのエピソードを思い出す。窓を閉め切っ…
澤村斉美は1979年生まれ。京都大学大学院文学研究科美学美術史学専攻博士課程中退。京大短歌会を経て、「塔」「豊作」に所属。2006年に「黙秘の庭」で第52回角川短歌賞に選ばれ、第1歌集「夏鴉」で第34回現代歌人集会賞、第9回現代短歌新人賞を受賞した。 初…
「短歌研究」3月号の最近刊歌集・歌書共選を書かせていただきました。 ご一読いただけると幸いです。
都庁窓拭き人がこぼしたコンタクトレンズで首は切断された 自選歌集「ラインマーカーズ」から。コンタクトレンズは穂村弘の短歌によく登場するモチーフの一つである。「手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)」には〈月よりの風に吹かれるコンタクトレンズを…
柚木圭也は1964年生まれ。1986年に「短歌人」入会。1993年に「フリー」で第38回短歌人新人賞、1999年に「心音」で第44回短歌人賞を受賞し、「短歌人」のホープと目されていたが、2001年より長く休詠状態にあった。2008年に活動再開し、第1歌集「心音(ノイズ…
菊池裕は1960年生まれ。高校時代から寺山修司の天井桟敷に在籍し、桐朋学園大学芸術学部で演劇を学んだ。1987年中部短歌に入会し、春日井建に師事。1992年より「開放区」にも参加。2005年に、第1歌集「アンダーグラウンド」で第13回ながらみ書房出版賞を受け…
夏の川きらめききみの指さきがぼくの鼻血に濡れてる世界 自選歌集「ラインマーカーズ」から、少し季節外れの一首。一読して気づくのがK音、とりわけ「KI」の韻である。これによりきらきらした世界が流麗な韻律とともに立ち現れる。「夏の川」といういかに…
大林明彦は1946年生まれ。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業。福島泰樹、中野菊夫に師事。「一路」「早稲田短歌」「反措定」「樹木」などに所属した。1975年に第1歌集「きみはねむれるか」を出している。 「きみはねむれるか」は口語短歌のエポックの一つ…