2009-05-01から1ヶ月間の記事一覧
おばあちゃんのバイバイは変よ、可愛いの、「おいでおいで」のようなバイバイ 第3歌集「手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)」から。この歌が含まれる一連には「まみ」の家族が出てくる。「まみ」の不思議フィルターを通じているものの、いたって普通の家…
四元康祐は1959年大阪府生まれの詩人で、「世界中年会議」は2002年に発行された彼の第二詩集である。製薬会社の駐在員として欧米暮らしが長い人らしい。それまで現代詩において描かれることがほとんどなかった経済、ビジネスを扱った詩を多数発表しているの…
香川ヒサは1947年生まれ。お茶の水女子大学文教育学部国文科卒業。1970年に「白路」、1984年に「好日」に入会。1988年、「ジュラルミンの都市樹」で第34回角川短歌賞を受賞。1993年「マテシス」で第3回河野愛子賞、2007年「perspective」で第12回若山牧水賞…
「その甘い考え好きよほらみてよ今夜の月はものすごいでぶ」 第2歌集「ドライドライアイス」から。穂村弘お得意の会話体の歌である。この歌の妙味は「甘い考え」という否定されるべきものを「好きよ」とライトに肯定してみせたあとで「今夜の月はものすごい…
松木秀は1972年生まれ。札幌学院大学法学部卒業。1998年に「短歌人」に入会し、2001年第46回短歌人新人賞を受賞。第1歌集「5メートルほどの果てしなさ」は2006年に第50回現代歌人協会賞を受賞している。もともと短詩作家としての出発は川柳からであり、歌風…
「腋の下をみせるざんす」と迫りつつキャデラック型チュッパチャップス 自選歌集「ラインマーカーズ」から。穂村弘の歌の中でも今までほとんど引用されたことがないだろう歌を取り上げてみたいなと思いこの歌を選んでみた。あまり取り上げられない理由は簡単…
札幌にて集まっている超結社の短歌勉強会「アークの会」で発行している同人誌「アークレポート」の2号が完成いたしました。同人による短歌連作、毎月の歌集研究のまとめ、歌会記などが主なコンテンツです。 特集その1は、「『つきさっぷ』を読む」。樋口智…
大野道夫は1956年生まれ。東京大学文学部卒業、同大学院教育学研究科博士課程修了。大正大学人間学部で教鞭を執る社会学者である。佐佐木信綱の曾孫にあたり、佐佐木幸綱は母の従兄弟。1984年「心の花」入会。1989年、「思想兵・岡井隆の軌跡―短歌と現代・社…
超長期天気予報によれば我が一億年後の誕生日 曇り 自選歌集「ラインマーカーズ」から。もともとこの歌は、高橋源一郎の小説「日本文学盛衰記」の中で石川啄木作の短歌という設定で提供された歌である。 自分が生きているわけもない一億年後の誕生日を知るこ…
http://www.nicovideo.jp/watch/sm6934671 ニコニコ動画にて文学作品の朗読と解説を行っているネットラジオ。枡野浩一「ショートソング」を取り上げている。短歌の部分をどう朗読するのかと聴いてみたところ、ほとんどモノローグの延長線上のような聴こえ方…
干場しおりは1964年生まれ。白百合女子大学文学部国文学科卒業。1984年に「未来」に入会し、河野愛子に師事。1989年に第一歌集「そんなかんじ」を、1993年に第二歌集「天使がきらり」を出している。バブル期の空気を残すキラキラ感覚が散りばめられた、ポッ…
ゆめのなかの母は若くてわたくしは炬燵の中の火星探検 「短歌」2006年1月号『火星探検』から。この一連は母への挽歌であり、穂村弘という歌人の大きなターニングポイントになった作品である。おそらく次に刊行される歌集のハイライトになることと思う。穂村…