トナカイ語研究日誌

歌人山田航のブログです。公式サイトはこちら。https://yamadawataru.jimdo.com/

2010-01-01から1年間の記事一覧

現代歌人ファイルその117・吉田正俊

吉田正俊は1902年生まれ、1993年没。東京帝国大学法学部卒業。1925年「アララギ」に入会し土屋文明に師事。いすゞ自動車に勤務し重役まで上り詰めるかたわら歌人として活動し、1975年に『流るる雲』で読売文学賞、1988年に『朝の霧』で迢空賞を受賞した。 高…

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角川短歌1月号に、光森裕樹『鈴を産むひばり』、田中濯『地球光』、平林静代『雨水の橋』の3歌集の書評を書きました。 毎年恒例、付録の短歌手帳にも1首引用していただいております。短歌 2011年 01月号 [雑誌]出版社/メーカー: 角川学芸出版発売日: 2010/12…

現代歌人ファイルその116・賀村順治

賀村順治は1945年生まれ。60年代から70年代にかけて菱川善夫を中心として活動していた北海道青年歌人会のメンバーの一人で、1976年に歌集「狼の歌」を刊行している。この北海道青年歌人会のメンバーは、ほかに松川洋子や西勝洋一がいる。70年代の里標となる…

現代歌人ファイルその115・岸上大作

岸上大作は1939年生まれ。高校時代より作歌を始め「まひる野」に入会。國學院大學文学部在学中に短歌会で活動しながら安保闘争に身を投じ、1960年に「意志表示」で第3回短歌研究新人賞に推薦される。そして同年には21歳で自殺をした。 清原日出夫と並ぶ安保…

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本阿弥書店「歌壇」1月号の特集「現代短歌の突破口はどこにあるか」に、『短歌翻訳の可能性』を寄稿しました。歌壇 2011年 01月号 [雑誌]出版社/メーカー: 本阿弥書店発売日: 2010/12/14メディア: 雑誌 クリック: 10回この商品を含むブログ (1件) を見る

アークレポート第3号刊行

北海道で開いている超結社の短歌勉強会「アークの会」が発行する「アークレポート」の第3号が完成しました。 今回の特集は「ゼロ年代を問い直す」です。 ゼロ年代総論、テーマ別ゼロ年代百首選、ゼロ年代の第一歌集・歌書選など盛りだくさんの企画となってお…

現代歌人ファイルその114・狩野聡子

狩野聡子は2009年に第1歌集「若草色の便箋」を青磁社より出版した。著者のプロフィールについてはよくわからず、青磁社と関係の深い「塔」の会員なのかどうかもわからない。歌集には「二十代の終わり」が幾度も描かれているので、年齢は30代だろうか。 偶然…

現代歌人ファイルその113・栗原寛

栗原寛(くりはら・ひろし)は1979年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。1997年より「朔日」同人。2005年に第1歌集「月と自転車」を出している。 師にあたる外塚喬の解説からは、古典文学を専攻していて、合唱団でピアノや指揮をしていたこと、東京都出身で…

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12月5日(日)に開催される文学フリマ。何の因果か出品しているうちの3誌に寄稿しています。 たぶんみんな近いところにいると思うので、覗いていただけたらうれしいです。文学フリマ http://bunfree.net/ 1、「トルタの国語 冒険の書」 http://tolta.blog8…

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本日発売の角川書店「短歌」12月号の特集「はじめての石川啄木」に寄稿しました。 「啄木を読む 若い世代の啄木発見」というコーナーに、『自意識過剰パワーが切り開く未来』と題して一首評を書いています。 同じコーナーに書かれているのは、松村正直さん、…

現代歌人ファイルその112・時田則雄

時田則雄(ときた・のりお)は1946年生まれ。帯広畜産大学別科修了。「辛夷」編集発行人。野原水嶺に師事。1980年「一片の雲」で第26回角川短歌賞を受賞し、第一歌集「北方論」で第26回現代歌人協会賞受賞。2009年には、「ポロシリ」で第60回読売文学賞と芸…

現代歌人ファイルその111・朋千絵

朋千絵(とも・ちえ)は1965年生まれ。清泉女子大学文学部卒業。高校在学中に「うた」に入会し、1993年より「日月」同人。2000年に第1歌集「リリアン」、2003年に第2歌集「ヴォイス」を刊行している。 「リリヤン」という歌集の特徴は、巻末に「リリヤン」と…

穂村弘百首鑑賞ロスタイム・「シンジケート」の栞文

第1歌集「シンジケート」には栞文として3人の歌人の解説が付されている。歌集にはすでに名のある歌人による解説の付された栞(というか小冊子)が挟まれるという独特の慣習があるのだ。解説担当は、塚本邦雄、坂井修一、林あまりの各人である。塚本邦雄は穂…

現代歌人ファイルその110・しんくわ

しんくわは1973年生まれ。2004年に「卓球短歌カットマン」で第3回歌葉新人賞を受賞。「しんくわ」という名前はハンドルネームをそのままペンネームとしたものである。 歌葉新人賞はオンライン上で公開選考を行うということを特色としていた賞で、「卓球短歌…

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北溟社発行の季刊誌「詩歌句」秋号(Vol.32)に短歌3首+ミニエッセイを寄稿しました。 「同人誌登場」というコーナーで今号は「かばん」が取り上げられることになり、5人の会員が近影とともに寄稿しております。 私の他には辻井竜一さん、飯島章友さん、雪…

現代歌人ファイルその109・平井弘

平井弘は1936年生まれ。岐阜県立加納高等学校卒業。1960年に「斧」創刊に参加し、1961年に第1歌集「顔をあげる」を出版した。1976年に第2歌集「前線」、2006年に第3歌集「振りまはした花のやうに」を刊行しているが、歌集のあいだのブランクの長さはほぼその…

現代歌人ファイルその108・光森裕樹

光森裕樹は1979年生まれ。京大短歌会出身で、結社には所属していない。2008年に「空の壁紙」で第54回角川短歌賞を受賞し、2010年に第1歌集「鈴を産むひばり」を刊行したばかりである。 作風はスマートでスタイリッシュという言葉がぴったり来る。ドイツ留学…

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「穂村弘ワンダーランド」(高柳蕗子責任編集・沖積舎)に評論『穂村弘は何を信じるか?』を寄稿しました。 多くの歌人たちによる穂村弘論、オマージュ短歌、対談など穂村弘の実像に迫る本邦初の穂村弘オンリームックです。 私は宗教と信仰という視点から穂…

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本日10月21日発売の「短歌研究」11月号の特集「新進気鋭の歌人たち」に、『ディア・インスペクター・クルーゾー』10首およびエッセイ「初めて出会った歌」を寄稿しました。http://www.tankakenkyu.co.jp/tankakenkyu/new.html短歌研究 2010年 11月号 [雑誌]…

現代歌人ファイルその107・辺見じゅん

辺見じゅんは1939年生まれ。早稲田大学文学部卒業。「弦」主宰。1988年に歌集「闇の祝祭」で第12回現代短歌女流賞を受けている。しかし一般的に有名な肩書きは歌人ではないだろう。「男たちの大和」などの著作があるノンフィクション作家として、そして角川…

昆テンポラリー続報

現在札幌のギャラリー・テンポラリースペースで開催されている「昆テンポラリー展」。 「テンポラリーフォト」のページで展示会場の写真が公開されています。 私の寄せた短歌作品の展示写真もあります。 雰囲気だけでも感じていただきたく思います。http://t…

現代歌人ファイルその106・大久保春乃

大久保春乃(おおくぼ・はるの)は1962年生まれ。1988年「醍醐」入会、槇弥生子に師事。2000年「醍醐」新人賞受賞。2004年より「熾」に移って活動している。歌集に「いちばん大きな甕をください」「草身」がある。 われを抱くあなたの髪のやさしくて両の手の…

現代歌人ファイルその105・糸田ともよ

糸田ともよ(いとだ・ともよ)は1960年生まれ。札幌市在住で、1986年より永井浩に現代詩を学んだ。のちに「鳩よ!」に短歌を投稿するようになり、選者だった福島泰樹のすすめで1992年に「月光」に入会した。第1歌集「水の列車」は2002年に刊行され、第17回北…

作品出展情報

札幌市のギャラリー・テンポラリースペースで行われる企画展「昆テンポラリー展−札幌の昆虫を素材にして」に新作短歌『秋の誘蛾灯』8首を出展させていただくことになりました。札幌の昆虫をテーマに、複数の美術家・作家から寄せられた作品を集める展覧会で…

現代歌人ファイルその104・斉藤光悦

斉藤光悦(さいとう・こうえつ)は1962年生まれ。明治大学法学部卒業。1988年、加藤克巳の「個性」に入会。1992年に第1歌集「群青の宙」を出している。1993年、個性新人賞受賞。「個性」解散後は沖ななもの「熾」に寄っていたが休会しているそうである。 加…

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「短歌」10月号の特集「馬場あき子の近業」に寄稿いたしました。 「私の好きな馬場あき子の歌」で2008年の歌集『太鼓の空間』を担当させていただきました。 お目通しいただければ幸いです。http://www.kadokawagakugei.com/zasshi/tanka/短歌 2010年 10月号 …

現代歌人ファイルその103・紺野万里

紺野万里は1947年生まれ。福井大学卒業、名古屋大学大学院修士課程修了。「未来」所属。近藤芳美に師事。2000年、「冥王に逢ふ―返歌」で第43回短歌研究新人賞受賞。2008年、「星状六花」で第34回現代歌人集会賞受賞。「過飽和・あを」「星状六花」の二つの歌…

現代歌人ファイルその102・成田れん子

成田れん子(なりた・れんこ)は1927年に生まれ、1959年に33歳で逝去した。北海道在住で、病気がちの身を抱えながら作歌活動を行ない、1951年に第1歌集「笛を吹く魚」を刊行した。詩や童話なども書いていたが、その後は忘れられた歌人だったようである。2010…

穂村弘百首鑑賞ロスタイム・「ごーふる」について

「ごーふる」は第1歌集「シンジケート」にあとがき代わりに付された散文詩(掌編小説ともいえるかもしれない)である。この短い一篇には、穂村弘が「シンジケート」の短歌だけでは伝えきれなかったことを改めて掬いなおそうという意図が込められている。歌集…

現代歌人ファイルその101・吉野亜矢

吉野亜矢(よしの・あや)は1974年生まれ。「未来」「レ・パピエ・シアン」所属。2001年に未来賞を受賞し、2004年に第1歌集「滴る木」を上梓している。神戸市在住の歌人のようである。 「滴る木」という表題にもあらわれているが、この歌集には植物のイメー…