トナカイ語研究日誌

歌人山田航のブログです。公式サイトはこちら。https://yamadawataru.jimdo.com/

2008-09-01から1ヶ月間の記事一覧

穂村弘百首鑑賞・1

終バスにふたりは眠る紫の<降りますランプ>に取り囲まれて 少なくとも僕は平成最大の歌人だと思っている穂村弘。第一歌集「シンジケート」はもはや古典となった感すらあります。しかし評論で扱われるときはもっぱら「ニューウェーブの旗手」としての側面ば…

犯罪者を詠む

おれの中の射殺魔Nは逃げてゆく 街に羞(やさ)しい歌が溢れても 谷岡亜紀 バモイドオキ 僕だけのための神だから僕だけのために僕が名づけた 山田消児 BVDのブリーフつけて血に濡れてかの日の川俣軍司いとほし 島田修三 藤原龍一郎という歌人は固有名詞を「時…

現代歌人ファイルその3・今橋愛

今橋愛は1976年生まれで、京都精華大学を卒業し23歳から作歌をはじめたそうです。2002年に「O脚の膝」で北溟短歌賞を受賞してデビュー。その作品は、伝統的な短歌のスタイルとはかなり趣を異にしています。多行書き、一字空け、行空けなどビジュアル効果を…

カムバック歌人

狭い短歌界といえど毎年どんどん新人が出てくるわけで、その一方で消えてしまう歌人もいるわけです。まあ基本的に歌を詠み続けていればそうそう消えはしないのですが、短歌そのものから離れてしまうというケースも少なくないのです。寺山修司は途中で短歌か…

現代歌人ファイルその2・永井祐

永井祐は1981年生まれで早稲田短歌会出身。2002年「総力戦」で北溟短歌賞次席。現代社会に閉塞感を感じつつもそれを打破しようとする意志がまったくみられない作風で、作者の意図とは別に作品だけ一人歩きして勝手に歌壇の問題児扱いされているような気配で…

はたらく人々

昭和のはじめ頃に「プロレタリア短歌集」という本が出まして、厳しい生活を生きる労働者の姿が刻まれているわけです。しかし不思議なことに読んでいてあまり沈痛な気分にはならないんですね。 あぶれた仲間が今日もうづくまつてゐる永代橋は頑固に出来てゐら…

現代歌人ファイルその1・斉藤斎藤

寺山修司・塚本邦雄・岡井隆の「前衛短歌」、そして加藤治郎・荻原裕幸・穂村弘の「ニューウェーブ」は、単に斬新な短歌というばかりではなく多大なフォロワーをも生み出し一つの「モード」を作り上げました。このような「モード」の刷新は、従来の短歌を革…

トナカイ語入門

短歌のブログをつくってみました。タイトルを考える時間の方が長かった気がします。 また会議ねえまた会議トナカイのことばでも研究してるのか? 荻原裕幸 この歌からブログのタイトルをとってみました。わけのわからない、理解する価値のないものとして使わ…