トナカイ語研究日誌

歌人山田航のブログです。公式サイトはこちら。https://yamadawataru.jimdo.com/

2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

現代歌人ファイルその43・早川志織

早川志織は1963年生まれ。東京農業大学農学部卒業。1983年「詩の雑誌 TILL」に参加。1985年に「短歌人」に入会し、高瀬一誌の薫陶を受けた。1992年、「藤色電波」で第38回角川短歌賞次席。1994年、第1歌集「種の起源」で第38回現代歌人協会賞を受賞した。 早…

穂村弘百首鑑賞・42

立ち読みの『アリス』の版数確かめていたら真夏が笑って死んだ エッセイ「もうおうちへかえりましょう」に収録されている一首。「高い本を買うとき」という古本をめぐるエッセイの末尾に付されている。貴重な古書について書かれた文章に付されるにふさわしい…

短歌往来8月号「ネット社会の新人たち」

短歌往来(ながらみ書房)8月号の特集は「ネット社会の新人たち」。15人が参加し、平均年齢は27.7歳。まさにフレッシュな若手歌人が揃った企画となった。どこがネット社会っぽいのかはいまいちわからないけど。 ゐるだけで絵になるといふ感想をけやきにも友…

現代歌人ファイルその42・森本平

森本平は1964年生まれ。國學院大學文学部文学科卒業、同大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。1978年「醍醐」に入会し、母である槇弥生子に師事。1995年「砦」創刊に参加。2001年「『戦争と虐殺』後の現代短歌」で第19回現代短歌評論賞を受賞した。祖…

穂村弘百首鑑賞・41

私の歩みにつれて少しずつ回転してゆく猫のあたまよ 「短歌研究」2007年8月号から。「私の」の読みは「わたくしの」である。「わたくし」という一人称を穂村が使うようになったのは比較的最近のことで、「手紙魔まみ」よりさらに後のことであろう。「シンジ…

現代歌人ファイルその41・谺佳久

谺佳久は1949年生まれ。早稲田大学卒業。「まひる野」を経て1974年より「心の花」所属。1988年に歌集「疾走歌伝」を刊行している。 「心の花」は『男歌』で有名な佐佐木幸綱が主宰をつとめている。その影響か「心の花」の男性歌人は男らしくハードボイルドな…

穂村弘百首鑑賞・40

ウエディングヴェール剥ぐ朝静電気よ一円硬貨色の空に散れ 第1歌集「シンジケート」から。掲出歌のうまいところはなんといっても「一円硬貨色」という表現であろう。曇り空の鈍色を一円硬貨のアルミニウムの色にたとえる視点は非常にシャープである。そして…

現代歌人ファイルその40・黒瀬珂瀾

黒瀬珂瀾は1977年生まれ。大阪大学大学院文学研究科修士課程修了。1996年に「中部短歌」に入会し春日井建に師事。2003年、大学院在学中に上梓した第一歌集「黒耀宮」で第11回ながらみ書房出版賞受賞。2006年からは「未来」に所属している。 黒瀬は13歳の時に…

現代歌人ファイルその39・鳥海昭子

鳥海昭子は1929年生まれで、2005年に没している。國學院大學文学部日本文学科卒業。1949年に「アララギ」入会。その後「歌と観照」を経て、1987年「短詩形文学」入会。1985年に第一歌集「花いちもんめ」で第29回現代歌人協会賞を受賞した。 鳥海は郷里山形か…