トナカイ語研究日誌

歌人山田航のブログです。公式サイトはこちら。https://yamadawataru.jimdo.com/

現代歌人ファイル

北海道新聞&週刊読書人

北海道新聞1月17日付夕刊に「モノローグ紀行」掲載です。今回は精進川から豊平川までを目指して歩きました。週刊読書人1月17日号の「現代短歌むしめがね 犯罪編」は雪舟えまの一首です。ウェブ上ではこちらでも読めます。 http://dokushojin.com/article.htm…

週刊金曜日8月22日号

本日発売の「週刊金曜日」8月22日号に、島田潤一郎『あしたから出版社』(晶文社)の書評を寄せました。金なしコネなし実績なしからたった一人で出版社を起ち上げ、書店に愛される本を生み出すようになるまでの軌跡。読めば元気になれる一冊です。http://www…

現代歌人ファイルその206・角宮悦子

角宮悦子(つのみや・えつこ)は1936年生まれ。1958年「一路」に入会し山下陸奥に師事。1968年「詩歌」に入会し前田透に師事。1984年の「詩歌」解散後は「はな」を創刊し自ら代表を務めている。1974年に第1歌集『ある緩徐調』を出版。その他『銀の梯子』『は…

現代歌人ファイルその205・荒井直子

荒井直子(あらい・なおこ)は「塔」所属。2005年に「紙の柩」で第48回短歌研究新人賞候補となり、同年に第1歌集『はるじょおん』(ながらみ書房)を出版した。作歌を始めたのは1995年、20歳のときだったということなので1975年頃の生まれということになる。…

現代歌人ファイルその204・廣西昌也

廣西昌也(ひろにし・まさや)は1964年生まれ。「短歌人」所属。2006年に「末期の夢」で第5回歌葉新人賞を受賞。2012年に第1歌集『神倉』(書肆侃侃房)を出版。本業は医師で、和歌山市在住である。 歌集のタイトルである『神倉』は廣西がかつて住んでいた新…

現代歌人ファイルその203・野尻供

野尻供は1938年生まれ。「茨城歌人」を経て1974年に「心の花」に入会。1982年に歌集『鉄の歌』を刊行。解説は佐佐木幸綱。その他合著『竹柏の葉』がある。 野尻は家業の鉄工所を経営しながら作歌活動を行っている歌人であり、それゆえにタイトルは『鉄の歌』…

現代歌人ファイルその202・佐藤りえ

佐藤りえ(さとう・りえ)は1973年生まれ。1997年「短歌人」入会、同人を経て現在は無所属。2003年に第1歌集『フラジャイル』を刊行している。 『フラジャイル』というタイトルの意味は「取扱注意」。荷物の輸送時に使われる表示である。その意味の通り、触…

現代歌人ファイルその201・田村元

田村元(たむら・はじめ)は1977年生まれ。北海道大学法学部卒業。1999年に「りとむ」に入会し、2002年に「上唇に花びらを」で第13回歌壇賞を受賞。2012年、第1歌集「北二十二条西七丁目」を刊行した。 歌集のタイトルは北大時代に居住していた札幌市の地名…

現代歌人ファイルその200・荻原裕幸(4)

未刊歌集『永遠青天症』は全既刊歌集を収めた『デジタル・ビスケット』に全篇収録されている、現在のところの荻原裕幸最新歌集である。この歌集から現在に至るまでの作風は確立されているといってよさそうだ。 虹を胡桃とバッハを夢で少しづつ消化してゐるぼ…

現代歌人ファイルその200・荻原裕幸(3)

第4歌集『世紀末くん!』は1994年の刊行である。歌集巻頭の「みづいろ前線」に寄せた文章には、「典型的なモラトリアムの青年だつたぼくの二十代。就職とか結婚とか、生活にかかはる大半を先送りにして、何かはあるだらうと自己表現の可能性を素朴に信じてゐ…

現代歌人ファイルその200・荻原裕幸(2)

第3歌集「あるまじろん」における荻原裕幸の展開を見ていこう。前書きの「ウッドストックの憂鬱」は「ウッドストックがこの街にゐてくれたらとても楽しいだらう。」という一文から始まる。スヌーピーでおなじみのウッドストックのことである。反実仮想として…

現代歌人ファイルその200・荻原裕幸(1)

荻原裕幸(おぎはら・ひろゆき)は1962年生まれ。愛知県立大学外国語学部フランス学科卒業。1986年の「玲瓏」創刊に参加し、塚本邦雄に師事。1987年「青年霊歌」にて第30回短歌研究新人賞を受賞。「青年霊歌」「甘藍派宣言」「あるまじろん」「世紀末くん!…

現代歌人ファイルその199・谷岡亜紀

谷岡亜紀(たにおか・あき)は1959年生まれ。早稲田大学中退。1980年「心の花」に入会し佐佐木幸綱に師事。1994年歌集「臨界」で現代歌人協会賞、2006年歌集「闇市」で前川佐美雄賞および寺山修司短歌賞を受賞している。なお、男性である。 谷岡の短歌世界の…

現代歌人ファイルその198・藤沢螢

藤沢螢(ふじさわ・けい)は別名・久木田真紀、1970年モスクワ生まれ…というのは仮のプロフィール。1989年に久木田真紀の名前を使って応募した「時間(クロノス)の矢に始めはあるか」で、第32回短歌研究新人賞を受賞した。その時19歳の女性というプロフィー…

現代歌人ファイルその197・伴風花

伴風花(ばん・ふうか)は1978年生まれ。明治大学法学部卒業。1999年より「かばん」所属。2004年に第1歌集「イチゴフェア」を出版している。 「イチゴフェア」はタイトルからもうかがえる通り、甘酸っぱい相聞歌集だ。 歯みがきをしている背中だきしめるあか…

現代歌人ファイルその196・島田幸典

島田幸典(しまだ・ゆきのり)は1972年生まれ。高校在学中より「牙」に所属し、石田比呂志に師事。京都大学法学部進学後は京大短歌会に入会。2001年、「光の変容」で第47回角川短歌賞次席。2002年、第1歌集「no news」で現代歌人協会賞、現代歌人集会賞を受…

現代歌人ファイルその195・松原未知子

松原未知子(まつばら・みちこ)は1950年生まれ。早稲田大学文学部仏文科卒業。「未来」短歌会に所属し、岡井隆に師事。歌集に「戀人(ラバー)のあばら」(1997)、「潮だまり」(2004)がある。 「戀人のあばら」というタイトルで感づいた方もおられるだろ…

現代歌人ファイルその194・田川みちこ

田川みちこ(たがわ・みちこ)は1953年生まれ。1990年より「未来」の古参会員であるアララギ系の歌人・宮岡昇に師事し、「樹液」の創刊に参加した。1991年に歌集『記憶端子』を刊行している。「かばん」に所属していた時期もある。 『記憶端子』は短歌を始め…

現代歌人ファイルその193・佐久間章孔

佐久間章孔(さくま・のりよし)は1948年生まれ。日本大学中退。「未来」にて岡井隆に師事。1988年、「私小説8(曲馬団異聞)」で第31回短歌研究新人賞を受賞。歌集に『声だけがのこる』(1988)がある。 アンソロジー『現代の第一歌集 次代の群像』に収め…

現代歌人ファイルその192・笹原玉子

笹原玉子(ささはら・たまこ)は1948年生まれ。中央大学中退。1986年より「玲瓏」に所属し、塚本邦雄に師事。『南風紀行』『われらみな神話の住人』といった歌集があるほか、『この焼跡の、ユメの、県』という詩集もある。 歌集『南風紀行』では塚本邦雄が解…

現代歌人ファイルその191・大崎瀬都

大崎瀬都(おおさき・せつ)は高知県四万十市出身で、「ヤママユ」に所属している。1978年に『望郷』で第24回角川短歌賞を受賞した。『海に向かへば』『朱い実』の二つの歌集がある。 大崎は高校生時代からすでに作歌を始めていたようであり、『海に向かへば…

現代歌人ファイルその190・白瀧まゆみ

白瀧まゆみ(しらたき・まゆみ)は1957年生まれ。愛知県立大学外国語学部中退。1988年に「未来」入会し、岡井隆に師事。現在は光栄堯夫主宰の「桜狩」同人。1990年、「Bird lives − 鳥は生きている」で第1回歌壇賞を受賞。1991年に第1歌集「自然体流行」を刊…

現代歌人ファイルその189・原田禹雄

原田禹雄(はらだ・のぶお)は1927年生まれ。京都大学医学部卒業。塚本邦雄が寺山修司、岡井隆、春日井建らよりすぐりのメンバーに声をかけて創刊した歌誌「極」の同人の一人だった歌人である。「極」終刊後は「喜望峰」などに依った。「瘢痕」「錐体外路」…

現代歌人ファイルその188・藤田武

藤田武(ふじた・たけし)は1929年生まれ。「潮音」「環」に所属。岡井隆や塚本邦雄らとともに前衛短歌ムーブメントの中で注目を浴びた歌人の一人であったようだ。「現代短歌大系10」の現代歌人作品集に「反涅槃(ニルヴァーナ)へ」という作品が収録されて…

現代歌人ファイルその187・酒向明美

酒向明美(さこう・あけみ)は「未来」所属の歌人で、2001年に第1歌集「ヘスティアの辺で」を刊行している。プロフィールとしては、金沢市在住であることと、30代なかばに短歌を始めて10年以上経ってから歌集を出したということくらいしかわからない。 「ヘ…

現代歌人ファイルその186・樋口智子

樋口智子(ひぐち・さとこ)は1976年生まれ。1999年「りとむ」に入会し、2006年に「夕暮れを呼ぶ」で第17回歌壇賞受賞。2008年の第1歌集「つきさっぷ」で第15回日本歌人クラブ新人賞を受賞している。 「つきさっぷ」というタイトルは札幌市の地名「月寒」の…

現代歌人ファイルその185・嵯峨直樹

嵯峨直樹(さが・なおき)は1971年生まれ。法政大学社会学部中退。「未来」にて岡井隆に師事し、2004年に「ペイルグレーの海と空」で第47回短歌研究新人賞を受賞。2008年に第1歌集「神の翼」を出している。 まず作風の大きな柱のひとつとなっているのが、性…

現代歌人ファイルその184・滝沢亘

滝沢亘(たきざわ・わたる)は1925年生まれ。立正大学文学部中退。1942年に「多磨」入会、1953年に「形成」に入会し、木俣修に師事。少年時より肺病と闘い、サナトリウムに入りながら作歌活動を続けた。1966年、41歳で没した。 1963年刊行の第1歌集「白鳥の…

現代歌人ファイルその183・長谷川と茂古

長谷川と茂古(はせがわ・ともこ)は1961年生まれ。徳島大学工学部中退。1995年「中部短歌会」に入会。2004年に中部短歌会新人賞を受賞。2010年に第1歌集「幻月」を出版している。その作風は、人を食ったペンネームにふさわしい謎めいたものである。 水無月…

現代歌人ファイルその182・高瀬一誌

高瀬一誌(たかせ・かずし)は1929年生まれ、2001年没。東京経済大学卒。「をだまき」にて中河幹子、「短歌人」にて小宮良太郎に師事し、「短歌人」編集、発行人などを歴任した。製薬会社の広告部や、「短歌現代」の編集部に勤めていたこともある。 高瀬は戦…