トナカイ語研究日誌

歌人山田航のブログです。公式サイトはこちら。https://yamadawataru.jimdo.com/

2011-04-01から1ヶ月間の記事一覧

現代歌人ファイルその134・高木佳子

高木佳子(たかぎ・よしこ)は1972年生まれ。1999年に「潮音」に入会し、波汐國芳に師事。2005年に「片翅の蝶」で第20回短歌現代新人賞を受賞。2007年に刊行した第1歌集「片翅の蝶」で第5回短歌新聞社第一歌集賞、第14回日本歌人クラブ新人賞を受賞した。福…

一穂ノート・18

空中楼閣 何をねらふ艦砲の仰角、 原爆実験で沙漠に出来た硝子帯、 海のない燈台、反射炉、ピサの斜塔、 バビロンならぬ、ここ廃都のどまん中にして、 二十世紀バベルの塔! (利益社会ではあっても国家ではない) ハンザ同盟の硝子張の司令塔だ。 いや下水…

現代歌人ファイルその133・中野昭子

中野昭子(なかの・あきこ)は1944年生まれ。兵庫県立尼崎高校卒。1978年に「ポトナム」に入会し頴田島一二郎に師事。1986年に「躓く家鴨」で第32回角川短歌賞次席。なおこの年の受賞者は俵万智であり、同じく次席となったのは穂村弘である。1987年に第1歌集…

一穂ノート・17

1930年、一穂32歳の時に刊行された第二詩集『故園の書』はアナーキズム的文学論の影響を強く受けた散文詩である。1923年に高橋新吉が登場し、1925年に萩原恭次郎が登場した。そういったダダーイズム文学の流れの下にあるようにも感じられる。 「空」は衒学的…

現代歌人ファイルその132・和田大象

和田大象(わだ・たいぞう)は1950年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。映画監督を志して日活撮影所で宣伝の仕事をした後に大阪に帰郷。家業の「ごま屋」を継ぎ、現在も経営者として働いている。「玲瓏」にて塚本邦雄に師事し、1989年に第1歌集「禊ぞ夏の…

掲載情報

東京新聞にエッセイ「出会えなかった友との話」を寄稿しました。4月13日(水)付け夕刊に掲載予定です。

一穂ノート・16

VENDANGE 去る日、もはや米櫃に一粒の糧なしと妻の訴ふる、さ れど一合の米は現実の秤にして、易くは補ひ難けれ。 画餅とはいひ、まづ一房の葡萄に添へて鼓腹撃壌之歌 を置き、子と共に唄ひぬ。 われは葡萄の収穫(とりいれ)。 大鎌にして穀倉、 かの落日の…

現代歌人ファイルその131・山田富士郎

山田富士郎(やまだ・ふじろう)は1950年生まれ。立教大学文学部日本文学科卒。1985年に「未来」入会、岡井隆に師事。1987年「アビー・ロードを夢みて」で第33回角川短歌賞、1991年第1歌集「アビー・ロードを夢みて」で第35回現代歌人協会賞、2001年第2歌集…