2009-12-01から1ヶ月間の記事一覧
中川宏子は「未来」所属で、岡井隆に師事。2007年に第1歌集「いまあじゆ」を出している。あとがきによると大学ではドイツ文学を学んでいたという。解説の岡井隆は、「一行の中に「私」を含めて架構する(作中主体を、作者から独立させる)ことが、どこまで可…
「童貞に抜かせちゃ駄目よシャンパンの栓がシャンデリアを撃ち落とす」 第2歌集「ドライドライアイス」から。「聖夜」という一連に含まれた、クリスマスらしい(?)一首。会話体の歌は穂村弘の得意とするところである。この「聖夜」という一連で綴られてい…
小野寺幸男は1938年生まれ。「未来」所属。岩手県に生まれ、高校卒業後上京して肉体労働に従事した後、タクシー運転手を生業としていたという。1980年に第1歌集「樹下仮眠」を刊行している。 まず目を引くのが、タクシー運転手としての職業詠である。きつい…
塘健は1951年生まれ。塘は「つつみ」と読む。別府大学卒業。「玲瓏」に所属し、塚本邦雄に師事。1982年、「一期不会」で第28回角川短歌賞を受賞している。師譲りの主知的かつ耽美的な作風が特徴である。「火冠」「出藍」の二つの歌集がある。 われと言ふわれ…
百億のメタルのバニーいっせいに微笑む夜をひとりの遷都 第1歌集「シンジケート」から。難解というより、ほとんど意味のないシュールな歌である。しかしなぜか一発で覚えてしまうようなインパクトがあり、愛唱している歌のひとつである。初めて短歌雑誌から…
杉原一司は1926年生まれで、1950年に23歳の若さで亡くなっている。現在において杉原の名前は、もっぱら塚本邦雄の親友として知られている。天理語学専門学校(現在の天理大学)フランス語学科を卒業。「日本歌人」にて前川佐美雄に師事。1949年に塚本と同人…
12月5日(土)読売新聞夕刊にインタビュー記事が載りました。地方版によっては掲載されていないようです。
父母の笑みが混ざった微笑みを浮かべて俺ががんばっている 短歌ヴァーサス2号(2003)所収の連作「マヨネーズ眼、これから泳ぎに」から。この歌は珍しく「父母」が登場する。二人だけの世界に閉じ籠もることを志向していた初期とははっきりと変化が生じてい…
鶴田伊津は「短歌人」所属で、2007年に第1歌集「百年の眠り」を刊行している。正確な年齢はわからないが、おそらく30代くらいだろう。「短歌人」に入会したのは1996年で、2003年に短歌人賞を受賞している。歌集からわかるプロフィールは、和歌山は熊野の出身…