トナカイ語研究日誌

歌人山田航のブログです。公式サイトはこちら。https://yamadawataru.jimdo.com/

2010-01-01から1年間の記事一覧

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「週刊読書人」5月7日号の連載『ニュー・エイジ登場』に寄稿しました。 http://www.dokushojin.co.jp/backnumber/backnumber100507.html ご一読いただけると幸いです。

穂村弘百首鑑賞・81

鳥の雛飛べないほどの風の朝 泣くのは馬鹿だからにちがいない 第1歌集「シンジケート」から。「馬鹿」は初期穂村弘の重要なキーワードである。歌の中で他人を馬鹿呼ばわりすることもあれば、自分自身を馬鹿と呼ぶこともある。「愚か」や「うすのろ」なども同…

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4月24日(土)東京新聞夕刊の「詩歌への招待」欄に、「老狼」7首およびミニエッセイを寄稿しました。

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発売中の短歌研究5月号にて、歌集歌書共選欄を書かせていただきました。ご一読いただけると幸いです。短歌研究 2010年 05月号 [雑誌]出版社/メーカー: 短歌研究社発売日: 2010/04/21メディア: 雑誌購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログを見る

現代歌人ファイルその81・尾崎朗子

尾崎朗子は1965年生まれ。1999年に「かりん」に入会し、2008年に第1歌集「蝉観音」を刊行した。もっとも歌集にはパーソナルなデータはあまり触れられておらず(年齢も、歌集には書かれておらずこの歌集が評されている文にて知った)。歌の中にだけあらわれる…

穂村弘百首鑑賞・80

ハイウェイの光のなかを突き進むウルトラマンの精子のように 自選歌集「ラインマーカーズ」から。「ラヴ・ハイウェイ」と題された一連のなかの一首。「ハイウェイ」というモチーフはとても都市的な意味合いをはらんでおり、またきらきらと光まみれの世界であ…

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ながらみ書房「短歌往来」5月号にて、巻頭エッセイ「今月の視点」を書かせていただいております。 タイトルは「啄木と発達障害」です。 取り扱っている書店が非常に少ない雑誌ですが、ご一読いただけると幸いです。

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事後報告となってしまいましたが、4月12日(月)日本経済新聞夕刊の文化面に取材を受けた記事が載りました。「題材は『郊外』若き歌人挑む」の見出しで、黒瀬珂瀾さんの「空庭」、松木秀さんの「RERA」、野口あや子さんの「くびすじの欠片」とともに取り…

現代歌人ファイルその80・柴田瞳

柴田瞳は1979年生まれ。法政大学文学部英文科卒業。「心の花」を経て「かばん」所属。「月は燃え出しそうなオレンジ」で2002年に第45回短歌研究新人賞候補となり、2004年に第1歌集「月は燃え出しそうなオレンジ」を刊行した。 短歌をはじめたのは早く、高校…

穂村弘百首鑑賞・79

回転灯の赤いひかりを撒き散らし夢みるように転ぶ白バイ 第2歌集「ドライドライアイス」から。警察官というのは穂村弘の歌に頻出するモチーフであり、いつもかっこ悪いやられ役として登場する。権力を茶化したりあざけったりしてみせる象徴的イメージが警察…

現代歌人ファイルその79・辰巳泰子

辰巳泰子は1966年生まれ。京都府立大学女子短期大学部国語科卒業。10代の前半にはすでに作歌を始めていたという早熟の歌人で、1985年に「短歌人」入会。1987年、「家族の季」で第33回角川短歌賞佳作となり、1990年に第1歌集「紅い花」で第34回現代歌人協会賞…

「さく」

さくらさきそむる真下をのつそりと出でしは仮面劇の蛮勇ちゆうりつぷ広場恐怖のゆゑか手をひろげてさけぶあかあをきいろ蝶の群れほどけてゆけば花水木集ふ 群れざる日々のなき春ラブホテルの部屋にダリアを飾るときベッドメイクの老婆やや笑む とても長い手…

現代歌人ファイルその78・筑波杏明

筑波杏明は1924年生まれ。立正大学文学部卒業。1947年に警察官となり、翌年窪田章一郎主宰の「まひる野」に入会した。1961年、第1歌集「海と手錠」を刊行。その他「時報鳴る街」「Q」という歌集がある。筑波の名を高めたのは「海と手錠」所収のこの一首であ…

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明日3月31日(水)読売新聞夕刊に短歌5首を寄稿させていただきました。一緒に角川俳句賞を受賞された相子智恵さんと今回も並ばせてもらっております。 ご一読いただけると幸いです。

穂村弘百首鑑賞・77

今ふいにまなざし我をとらえたりかなぶんの羽の中央の線 掲出歌は第32回角川短歌賞次席となった「シンジケート」50首に入っている歌であり、歌集にまとめられるにあたって落とされた歌である。このように、次席作品に入っていながら落とされた歌は全部で8首…

現代歌人ファイルその77・花山周子

花山周子は1980年生まれ。武蔵野美術大学卒業。1999年に「塔」に入会。2007年に第1歌集「屋上の人屋上の鳥」を出し、第16回ながらみ書房出版賞を受賞した。母は「塔」選者の花山多佳子である。 「屋上の人屋上の鳥」という歌集の大きな特徴は収録歌数の多さ…

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発売中の「短歌研究」4月号にて歌集・歌書共選を書いております。 ご一読いただけると幸いです。短歌研究 2010年 04月号 [雑誌]出版社/メーカー: 短歌研究社発売日: 2010/03/23メディア: 雑誌 クリック: 2回この商品を含むブログを見る

穂村弘百首鑑賞・76

くぐり抜ける速さでのびるジャングルジム、白、青、白、青、ごくまれに赤 第3歌集「手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)」から。ジャングルジムは穂村弘の歌にしばしば登場するモチーフであるが、その中でもきわめて印象的な一首である。結句の「ごくまれ…

現代歌人ファイルその76・大松達知

大松達知は1970年生まれ。上智大学外国語学部英語学科卒業。「コスモス」「桟橋」所属。高校時代に作歌を始め、これまでに「フリカティブ」「スクールナイト」「アスタリスク」の3歌集を出している。本業は私立高校の英語教師。蛇足ながら、千葉ロッテファ…

現代歌人ファイルその75・松崎英司

松崎英司は1960年生まれ。2002年「星座」入会。2006年に「青の食單」で第52回角川短歌賞次席。本職は料理人であり、ホテルの料理長も務めている。「青の食單」はすべての歌に食材が詠み込まれているというユニークさから、小池光に高く評価された。この食材…

穂村弘百首鑑賞・74

手紙かいてすごくよかったね。ほむがいない世界でなくて。まみよかったですね。 第3歌集「手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)」から。歌集のハイライトともいえるシーンであらわれる歌である。「ほむ」とは手紙の相手、穂村弘自身のこと。ここで綴られて…

現代歌人ファイルその74・小黒世茂

小黒世茂は1948年生まれ。「玲瓏」に所属し塚本邦雄に師事。1999年に「隠国」で第10回歌壇賞を受賞。「隠国」「猿女」「雨たたす村落」の三つの歌集がある。 小黒は和歌山市出身で、紀州熊野に魅せられその地を舞台とした歌を多数詠んでいる。その特徴は一言…

穂村弘百首鑑賞・73

甘い甘いデニッシュパンを死ぬ朝も丘にのぼってたべるのでしょう 第3歌集「手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)」から。穂村弘と甘いパン、というと「世界音痴」所収のエッセイにも書かれているチョコスティックパンのエピソードを思い出す。窓を閉め切っ…

現代歌人ファイルその73・澤村斉美

澤村斉美は1979年生まれ。京都大学大学院文学研究科美学美術史学専攻博士課程中退。京大短歌会を経て、「塔」「豊作」に所属。2006年に「黙秘の庭」で第52回角川短歌賞に選ばれ、第1歌集「夏鴉」で第34回現代歌人集会賞、第9回現代短歌新人賞を受賞した。 初…

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「短歌研究」3月号の最近刊歌集・歌書共選を書かせていただきました。 ご一読いただけると幸いです。

穂村弘百首鑑賞・72

都庁窓拭き人がこぼしたコンタクトレンズで首は切断された 自選歌集「ラインマーカーズ」から。コンタクトレンズは穂村弘の短歌によく登場するモチーフの一つである。「手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)」には〈月よりの風に吹かれるコンタクトレンズを…

現代歌人ファイルその72・柚木圭也

柚木圭也は1964年生まれ。1986年に「短歌人」入会。1993年に「フリー」で第38回短歌人新人賞、1999年に「心音」で第44回短歌人賞を受賞し、「短歌人」のホープと目されていたが、2001年より長く休詠状態にあった。2008年に活動再開し、第1歌集「心音(ノイズ…

現代歌人ファイルその71・菊池裕

菊池裕は1960年生まれ。高校時代から寺山修司の天井桟敷に在籍し、桐朋学園大学芸術学部で演劇を学んだ。1987年中部短歌に入会し、春日井建に師事。1992年より「開放区」にも参加。2005年に、第1歌集「アンダーグラウンド」で第13回ながらみ書房出版賞を受け…

穂村弘百首鑑賞・70

夏の川きらめききみの指さきがぼくの鼻血に濡れてる世界 自選歌集「ラインマーカーズ」から、少し季節外れの一首。一読して気づくのがK音、とりわけ「KI」の韻である。これによりきらきらした世界が流麗な韻律とともに立ち現れる。「夏の川」といういかに…

現代歌人ファイルその70・大林明彦

大林明彦は1946年生まれ。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業。福島泰樹、中野菊夫に師事。「一路」「早稲田短歌」「反措定」「樹木」などに所属した。1975年に第1歌集「きみはねむれるか」を出している。 「きみはねむれるか」は口語短歌のエポックの一つ…