トナカイ語研究日誌

歌人山田航のブログです。公式サイトはこちら。https://yamadawataru.jimdo.com/

日記っぽい何か

えらく懐かしい歌詞とメロディが世間を席巻している。ホフディランのデビュー曲「スマイル」だ。オロナミンCのCMで森七菜という若手女優が歌って話題になった。1996年にリリースされたこの曲が、突如2020年にCMに使われて、リバイバルヒットしているのだ。

それにしてもなぜ「スマイル」なのだろう。今37歳である私は10代の頃にホフディランをずいぶん聴いた。この選曲をしたCM制作者は、間違いなく同世代だろう。何しろこの曲、リリース当時は別にそれほど売れたわけではない。オリコンチャート最高位は59位である。

www.youtube.com

CMで森七菜が演じているのは高校生だと思われるが、一体どういう経緯でこの曲を知ったという設定なのだろう。そんな高校生は90年代J-POPオタクとしか言いようがない。たぶん8センチCDの存在を知っている。

そういえば昨年には、the pillowsの「Funny Bunny」も女性ボーカリストがカバーしてアクエリアスのCMに使われていた。1999年のアルバムの曲である。同世代がCMの制作側である程度の地位を築き始めたのだろうか。90年代の決してメジャーではないJ-POPが再発掘されてカバーされるというのは最近のCMの流行りなのかもしれない。

www.youtube.com

もし自分が90年代J-POPを復活させるカバーを提案できるとしたら、と考えるといくらでも思いつく曲が出てくる。「リリース当時はそれほどヒットしなかった」というのが条件だ。

まずあげたいのは堂島孝平。平成のシティポップ・プリンス。業界的にはすごく高く評価されていてKinKi Kidsへの曲提供もしたりしているけど、本人の曲はヒットに恵まれない。間違いなく天才だと思うのだが。他人への提供曲も悪くないけど、やっぱりあのあどけない歌声の本人の歌唱が最高なのに。一番有名だろう曲はこち亀のアニメソング「葛飾ラプソディー」なのだが、実は「スマイル」もこち亀のエンディングテーマだった。こち亀つながりで復活できないものか。ただ復活させるとしたら「葛飾ラプソディー」ではなくて、「ロンサムパレード」(1997年)、「Remember」(1998年)あたりが一番キラキラしていて女性がカバーしても映えそう。

www.youtube.com

www.youtube.com

Fish&Chips「ハーシー」(1998年)も、今聴いても古びない名曲だ。ハイテンションにポップなサウンドと、初デートで緊張する男の子の気持ちという青くさすぎる歌詞の取り合わせが絶妙だった。2008年にAcid Black Cherry(元Janne Da Arcのボーカルのソロプロジェクト)がカバーするなど、根強く愛されている曲だ。なお原曲の歌詞にポケットベルという語が使われているが、Acid Black Cherryのカバー版ではさすがに古いと判断されてそこだけ直されている。でも再カバーするなら、あえてポケットベルのままにしたいところだ。

www.youtube.com

the autumn stoneのデビュー曲「君がいなかったら」(1999年)も思い入れのある曲だ。北海道出身のバンドだったので、叙景的な歌詞に親近感がわいた。同時期にやはり北海道で活動していたダッチマン(サカナクションの前身バンド)は曲が難解でいまいち理解できず、the autumn stoneのフォーキーなロックサウンドが好きだった。女性がアカペラで歌うとすごく似合うと思う。

www.youtube.com