トナカイ語研究日誌

歌人山田航のブログです。公式サイトはこちら。https://yamadawataru.jimdo.com/

現代歌人ファイル

現代歌人ファイルその181・三枝浩樹

三枝浩樹(さいぐさ・ひろき)は1946年生まれ。法政大学文学部英文学科卒業。「沃野」「風車」「反措定」「かりん」を経て1992年「りとむ」創刊に参加。植松寿樹、植田多喜子に師事。歌人の一家に育ち、兄の三枝昂之も著名な歌人である。 兄の三枝昂之は思想…

現代歌人ファイルその180・佐々木六戈

佐々木六戈(ささき・ろっか)は1955年生まれ。詩人・鷲巣繁雄の短歌集を読んで作歌を始めたが、その後俳句に転向し1992年より俳句結社「童子」に参加。しかし再び短歌への挑戦を始め、2000年に「百回忌」で第46回角川短歌賞を受賞した。俳人として一定の地…

現代歌人ファイルその179・野口恵子

野口恵子(のぐち・けいこ)は1975年生まれ。早稲田大学理工学部卒業。シンクタンクに勤務するかたわら、田島邦彦が講師を務めていた短歌教室に通い始めたのがきっかけで2003年に「開放区」に参加。2005年に第1歌集「東京遊泳」を出版している。 「東京遊泳…

現代歌人ファイルその178・大口玲子

大口玲子(おおぐち・りょうこ)は1969年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。「心の花」に所属し、佐佐木幸綱に師事。 作歌を始めたのは早く、高校時代から新聞歌壇に投稿をしていた。1998年、「ナショナリズムの夕立ち」で第44回角川短歌賞。1999年第1歌集…

現代歌人ファイルその177・中川佐和子

中川佐和子(なかがわ・さわこ)は1954年生まれ。早稲田大学第一文学部日本文学科卒業。1984年に「未来」に入会し、河野愛子に師事。1992年に「夏木立」で第38回角川短歌賞、2000年「河野愛子論」で第10回河野愛子賞を受賞。歌集に「海に向く椅子」「卓上の…

現代歌人ファイルその176・前田康子

前田康子(まえだ・やすこ)は1966年生まれ。20歳の時に「京大短歌」「塔」に入会。「ねむそうな木」「キンノエノコロ」「色水」「黄あやめの頃」と4冊の歌集がある。 歌集に個人情報をあまり明かさないタイプらしく、作者像はどこかあいまいな雰囲気がある…

現代歌人ファイルその175・山崎方代

山崎方代(やまざき・ほうだい)は1914年生まれ、1985年没。出征先のティモール島で右目を負傷し、失明。左目もかなりの弱視となった。戦後は傷痍軍人の職業訓練で教わった靴の修理を生業に、妻子も定住先も持たず放浪しながら生活した。山下陸奥の歌誌「一…

現代歌人ファイルその174・都築直子

都築直子(つづき・なおこ)は1955年生まれ。上智大学フランス語学科卒業。1989年に小説現代新人賞を受賞して小説家としてデビューした後に、短歌に転向した。「中部短歌」で春日井建に師事したのち、現在は「日本歌人」に所属している。第一歌集「青層圏」…

現代歌人ファイルその173・本多忠義

本多忠義(ほんだ・ただよし)は1974年生まれ。山形大学教育学部卒業。「かばん」所属。2005年に歌集「禁忌色」を出しているほか、2冊の詩集も出版している。宮城県在住の歌人である。 冬が来る前にいつかの坂道で坂道であなたに触れてぼくは壊れた どちらか…

現代歌人ファイルその172・細溝洋子

細溝洋子(ほそみぞ・ようこ)は1956年生まれ。名古屋大学文学部国史学科卒業。1989年「心の花」入会。2006年、「コントラバス」で第18回歌壇賞受賞。歌集に「コントラバス」(2008)がある。 口語と文語を適度に混じらせたソフトな作風であるが、やわらかで…

現代歌人ファイルその171・吉岡生夫

吉岡生夫(よしおか・いくお)は1951年生まれ。龍谷大学文学部仏教学科卒業。1970年「短歌人」入会。第1歌集「草食獣」は1979年に刊行。以後、「続 草食獣」「勇怯篇 草食獣・その3」など、歌集に毎回「草食獣」と名付けている。それくらい「草食獣」という…

現代歌人ファイルその170・三井修

三井修(みつい・おさむ)は1948年生まれ。東京外国語大学アラビア語学科卒業。「長風」を経て現在は「塔」所属。1993年、歌集「砂の詩学」で第37回現代歌人協会賞。2004年に、歌集「風紋の島」で第31回日本歌人クラブ賞を受賞している。 思えば京都に住んで…

現代歌人ファイルその169・小島孝

小島孝(こじま・たかし)は1957年生まれ。埼玉大学教養学部卒業後、1984年に「かばん」に参加。そしてその翌年に28歳の若さで病死している。 私が小島の短歌を知ったのは穂村弘経由である。穂村自身も「かばん」入会時にすでに亡くなっていた歌人として、こ…

現代歌人ファイルその168・小川佳世子

小川佳世子(おがわ・かよこ)は1960年生まれ。同志社大学経済学部卒業。1999年「未来」に入会し、岡井隆に師事。2006年に出版した第一歌集「水が見ていた」で現代歌人集会賞を受賞している。大学院にて能の研究をした経験も持つ。 京都は仁和寺の近くで生ま…

現代歌人ファイルその167・大谷雅彦

大谷雅彦(おおたに・まさひこ)は1958年生まれ。「水甕」「ヤママユ」を経て、「短歌人」所属。1976年、高校生の時に応募した「白き路」が第22回角川短歌賞を受賞。当時史上最年少の受賞者として話題になった。しかしその後長きに渡って歌集は出しておらず…

現代歌人ファイルその166・大塚寅彦

大塚寅彦(おおつか・とらひこ)は1961年生まれ。1980年に中部短歌会に入会し、春日井建に師事。1982年「刺青天使」にて第25回短歌研究新人賞を受賞。春日井建没後は、中部短歌会の主宰を引き継いでいる。 プロフィールの通り、短歌研究新人賞を受けてデビュ…

現代歌人ファイルその165・高木孝

高木孝(たかぎ・たかし)は1968年生まれ。1998年に同人誌「ぱにあ」に参加。2004年に第1歌集「地下水脈」を出版している。 高木と同年生まれの歌人には千葉聡や枡野浩一、1歳下に吉川宏志、2歳下に松村正直がいる。彼らはニューウェーブ短歌の影響を受けな…

現代歌人ファイルその164・水上比呂美

水上比呂美(みなかみ・ひろみ)は1951年生まれ。青山学院女子短期大学国文学専攻科卒業。大学で高野公彦に学び、2001年に「コスモス」に入会。2009年に第56回コスモス賞を受賞。同年、第1歌集「ざくろの水脈」を出版した。 初めて水上比呂美の名に注目した…

現代歌人ファイルその163・野口あや子 

野口あや子(のぐち・あやこ)は1987年生まれ。2004年に「幻桃」、2006年に「未来」に入会。松村あや、加藤治郎に師事。2006年、「カシスドロップ」で第49回短歌研究新人賞。2010年に第1歌集「くびすじの欠片」で現代歌人協会賞を最年少で受賞した。短歌研究…

現代歌人ファイルその162・フラワーしげる

フラワーしげるは1955年生まれ。「かばん」購読会員。2010年に「世界の終わりとそのとなりの社員食堂」で短歌研究新人賞の最終選考を通過している。 フラワーしげるの作風は、定形に収まっていないという点では自由律といえるがしかし本来の意味での自由律と…

現代歌人ファイルその161・島内景二

島内景二(しまうち・けいじ)は1955年生まれ。東京大学文学部卒業、同大学院修了。古典文学を専門とする国文学者であり、電気通信大学の教授を務める。その一方で塚本邦雄に師事した歌人でもあり、1985年の創刊準備号から「玲瓏」に参加している。 笠間書院…

現代歌人ファイルその160・本田一弘

本田一弘は1969年生まれ。福島県会津若松市在住の歌人で、「心の花」所属。2000年に「ダイビングトライ」で短歌現代新人賞を受賞し、第1歌集「銀の鶴」で日本歌人クラブ新人賞、第2歌集「眉月集」で寺山修司短歌賞を受けている。「眉月集」は後書きの散文部…

現代歌人ファイルその159・久山倫代

久山倫代(くやま・みちよ)は1961年生まれ。愛媛大学医学部卒業。在学中より朝日歌壇に投稿を始め、1991年に「かりん」に入会。第1歌集「夏のバッカス」は1993年に刊行した。本職は皮膚科の医師である。 「かりん」に入会したのは29歳のときであるが、作歌…

現代歌人ファイルその158・大野誠夫

大野誠夫(おおの・のぶお)は1914年生まれ、1984年没。茨城県龍ヶ崎中学校卒業。十代の終わりに画家を志して上京し、同じ頃に「短歌至上主義」に入会。杉浦翠子に師事して作歌を始めた。「短歌至上主義」解散後は「鶏苑」を経て「砂廊」(のちに「作風」と…

現代歌人ファイルその157・目黒哲朗

目黒哲朗(めぐろ・てつお)は1971年生まれ。二松学舎大学文学部卒業。1990年に「原型」に入会し、斎藤史に師事。1993年「つばさを奪ふ」で第4回歌壇賞。長野県で教員をしながら歌人活動を行なっている。歌集「CANNABIS」、選歌集「セレクション歌人 目黒哲…

現代歌人ファイルその156・飯沼鮎子

飯沼鮎子(いいぬま・あゆこ)は1956年生まれ。1990年に「未来」に入会し、大島史洋に師事。1992年に短歌現代新人賞を受賞し、1994年に第1歌集「プラスチックスクール」を上梓。1999年には「サンセット・レッスン」でながらみ書房出版賞を受けている。 日本…

現代歌人ファイルその155・やすたけまり

やすたけまりは1961年生まれ。「未来」所属。2009年に「ナガミヒナゲシ」で第52回短歌研究新人賞を受賞し、2011年に第1歌集「ミドリツキノワ」を出版した。 やすたけの短歌の最も目立つ特徴は、植物名が頻出することである。受賞作からして植物にちなんだタ…

現代歌人ファイルその154・黒田雪子

黒田雪子(くろだ・ゆきこ)は1971年生まれ。15歳から短歌を作り始める。2003年に「星と切符」で第46回短歌研究新人賞を受賞し、「未来」に入会。今年の8月に第1歌集「星と切符」を出したのであるが、これは出版社を通したものではなく手作りの私家版である…

現代歌人ファイルその153・中田有里

中田有里(なかた・ゆり)は1981年生まれ。2006年に「今日」で第5回歌葉新人賞次席となり、歌誌「pool」に所属している。 「今日」は日常生活を断片的に描いたような連作である。起伏の少ないローテンションな世界観のなかに、微妙なねじれがある不思議な味…

現代歌人ファイルその152・菊池孝彦

菊池孝彦(きくち・たかひこ)は1962年生まれ。1989年に「短歌人」に入会し。2010年に第1歌集「声霜」を出版した。仙台市在住の歌人である。 しやぼんだま吹けば五彩がひとときをいろどる 目のまはりをかるくして 予兆あらかた過ぎてしづもるゆふぐれや 「鳩…